無限 子供たちは宇宙のはてに向かって走り始めました。 大人たちの話すところによると、時間は循環し、いつかまた、 今とまったく同じ瞬間が戻ってくるそうです。 空間もまた、真っ直ぐ、真っ直ぐ、どこまでも進んでゆくと、 それ見たことか、もとの所に戻っているのだそうです。 そんな考えは大人たちの作り上げた臆病な思想です。 子供たちは春の野原で無限に続く宇宙のはてに思いを巡らし、 喜悦の中で鳥のような悲鳴を上げて、ところかまわず気を失うのです。
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