すべり台
私は住宅街にある公園の傍らを通るとき、
そこにある、すべり台、ぶらんこ、なんともいえない組み合わせをした遊戯機具、
そういったものに、ついつい目がいってしまうのです。
そして、それらに近づいて行って、そっと、手を触れるのです。
材質の冷たい感触が伝わって来ます。
思わず、頬擦りをしてしまいます。
いつのまにか、目を瞑り、心地よさに、眠ってしまうことさえあります。
そんな時は、いつも、誰かに乱暴に揺り動かされ、目が覚めるのです。
そして、いかつい制服の男たちに両脇を担がれ引き摺られる様にして、公園を後にするのです。
その時の私の引き摺られる足と、その地面との心地よい摩擦感が、
私にとっての極上のすべり台と言えるのかもしれません。

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