寂しさ
寂しさとは、いつも、ふいにやって来るものではないでしょうか。
空気の中を透明な雲のように漂って、
この人ならと思う心の中に、そっと、訪れて、思いのたけを語るのです。
それはきっと、遠い国の見知らぬ人の経験した1人では耐え切れぬほどの辛い寂しさなのかもしれません。
昨日、私が感じた寂しさは、
海を越え、いくつもの国を越えた砂漠の風が吹く村で、
突然の戦争に巻き込まれ、全ての家族を殺されて、只1人、生き残り、みなしごになった少女の、
ただ茫然と青い青い空を見つめる眼の中の渇いた涙の寂しさでした。

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