香木
植物はそれが香木という特別なものでなくとも、
森の中ではそれぞれ芳しい香りを放ちます。
それは彼等が動かないからでしょうか。
じっとしているから香りで何かを誘う。
我々、欲にまみれた動物の端くれにはとうていできない仕業です。
最近、私は植物を見習って、できる限りじっとしています。
しかし、生活があるので、だれも見ていないと分かると、こそこそと動きます。
まるで、子供の遊びの「達磨さんが転んだ」のようです。
そういえば、その達磨大師も面壁九年、動かずして、仏法の芳香をいまだに漂わせているのではないでしょうか。

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