誕生日の飾り付け

今日は待ちに待った少年の誕生日です。
父は昨日から徹夜で、すばらしい飾り付けを作り上げました。
しかし、残念なことに、そのまま、どこかへ行くヘをくらましてしまいました。
最後に言った言葉は「、カタツムリの軌跡に注意しろ」です。
少年は父がいなくなった寂しさのなか、じっとカタツムリの後に続く、ねっとりとした軌跡を見つめていました。
お、め、で、と、う、
確かに、そう読めました。
少年は、カタツムリを持ち上げると、仕掛けはないかと、
殻の中に指を入れました。
カタツムリは痛そうに、角をいっぱいに伸ばしました。

目次へ
next