2段ベッド

お母さんと少年は、もう、1時間も黙ったままでした。
部屋の壁に作られた地図の上の赤いバラは何なのでしょうか。
明日、そこで、何が起こるというのでしょうか。
お母さんは、毎日、そこを通ります。
そして、たくさんの町の人々と挨拶を交わします。
その通りをぬける風の心地よさといったら、例えようもありません。
人生には、どうしようもないことがあるのかも知れません。
幸せだと思ったことが、その背中に大きな不幸を背負っていたとか、
不幸だと思ったことが、楽園への入り口の珍しい飾り付けだったとか。
世界はどこへ向かっているのでしょうか。神の目的とは何なんでしょうか。
お母さんの考えは、どんどん、どんどん、高みへと登っていきます。
そして、自分の息子がやろうとしてることなど、取るに足らない些細なことに思えてくるのでした。

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